子どもが教えてくれた“自由な創造” — 世界で一つだけのショルダーバッグ —
ある夏の日の午後、大関鞄工房で開催された「世界で一つだけのショルダーバッグづくり」のワークショップに、ひとりの小学3年生の男の子がやってきた。
最初は少し緊張気味だったが、テーブルに並ぶカラフルな革を見た瞬間、目の色が変わった。
「これ、空の色みたい!」
彼が選んだのは、明るい青と淡いグレーの革だった。
大人ならまず組み合わせない色だが、彼にははっきりとした“イメージ”があった。
彼は、バッグの後面に小さなポケットをつけたいと言い出した。
理由を尋ねると、こう返ってきた。
「ここに、冒険の地図を入れるんだ」
その言葉に、職人たちも思わず笑顔になった。
「本当にそういうバッグを作れる?」と不安そうな母親の言葉をよそに、男の子は黙々と作業を進めた。
革に穴を開ける道具も、金具を打つためのハンマーも、最初は少し重かった。
でも彼は、誰にも頼らず自分の手で進めようとする。
「ここは自分で決めたいんだ」
そう言って、ポケットの位置を何度も微調整していた。
2時間後、ショルダーベルトの長さを決め、金具を取り付け、最後に彼はバッグの裏面に、ポケットを取り付け完成。
「これはぼくの宝物になるから」
とても静かな声だったけれど、その目はまっすぐだった。
完成したバッグは、左右のバランスが少し不揃いだった。ポケットもほんの少し傾いている。
けれど、その全てに“その子らしさ”が宿っていた。
「完璧じゃないけど、完璧だね」
職人がつぶやくと、母親も深くうなずいた。
私たちは日々、丁寧に、正確に、整った鞄を作る。
けれど、このバッグのように、作り手の“自由な心”が染み込んだ作品には、また別の美しさがある。
それは、“ものづくりの原点”を思い出させてくれる。
「失敗しても大丈夫だよ。これ、ぼくのだから」
そう言った男の子の姿に、創造の真髄がある。
今日もまた、誰かの“初めて”がこの工房でかたちになっていく。
それは、私たち職人にとっても新しい冒険だ。
創る喜びは、年齢に関係なく、いつも心の奥からやってくる。
国産ハンドメイドレザーバッグ | Squeeze - スクィーズ
レザーバッグブランドSqueezeでは「物の価値ではなく、そこに込められた職人や人の想いの価値を大切にしていきたい」という考えに基づき、
メイドインジャパンにこだわり「バッグを持つ人に信頼と感動を与えたい、そんな商品を世の中に出せたら」という想いで日々勉強中です。
オーダーメイドや革製品の修理もぜひお気軽にご相談ください。
屋号 | 株式会社大関鞄工房 |
---|---|
住所 |
〒130-0021 東京都墨田区緑2-13-5 |
電話番号 | 03-5669-1408 |
営業時間 |
10:00~18:00 定休日:日、祭日 |
代表者名 | 大関 敏幸 (オオゼキ トシユキ) |
info@squeeze.ne.jp |