現代社会では、ほとんどのものに値札がついています。バッグも、食事も、サービスも、すべてが「いくらか？」で語られることが当たり前になっています。

しかし、職人の世界に身を置いていると、「これはお金に換えられるようなものじゃない」と感じる瞬間があります。たとえば、あるお客様のためだけに作った特注バッグ。そこには、色選び、サイズの調整、素材の仕入れ、何より「その人の暮らしに寄り添うにはどうすべきか」という思考の時間が詰まっています。

効率や価格だけでは測れない、時間と想い。
それは、工場で大量生産された製品には決して宿らない「気配」のようなものかもしれません。

お金は大切です。だけど、何かをつくるという行為の中には、「価格以上の価値」が確かにある。それを感じてくださるお客様がいる限り、私たちは今日も、黙々と手を動かします。