休暇ブログ2 『道具たちの休息』
ゴールデンウィーク2日目。人気のない工房に足を踏み入れると、革とオイルの香りが、いつもより深く胸にしみる。
音のない工房は、まるで一冊の写真集のようだ。手を休めた道具たちが、まるで静止画の中に並んでいる。
ふと、奥の作業台に目をやると、そこに重厚な存在感を放つ「箔押し機」が鎮座している。
大関鞄工房がOEMを中心にやっていた時代からずっと使い続けている、年代物のホットスタンプだ。
真鍮の活字ケースには、今ではあまり使わない字体のアルファベットが整然と並び、金色に輝く箔のロールが、少し埃をかぶって棚に置かれていた。
「あの機械が初めて不調を訴えた」
押しても熱が入らず、印字がぼやけてしまう。修理業者に頼もうかと話していた矢先、親方が「俺に一日くれ」と言った。
彼はその日のうちに作業台の上を片付け、古い設計図を取り出しながら機械の裏蓋を開けて、中の熱線ユニットを丁寧に磨き、ゆっくりと配線を点検し始めた。
「この機械はさ、年寄りみたいなもんだ。話を聞くには、時間をかけなきゃいけない」
翌朝、箔押し機はいつもより凛とした音を響かせ、真鍮の活字で打たれたロゴが、きれいに革の上に光っていた。
そんな出来事を思い出しながら、今日の工房の空気を感じている。
道具は、ただの“モノ”ではない。休ませることも、向き合うことの一つだ。
この連休、職人の手は止まっている。
でも、道具たちはまるで「次の出番」に備えて、深く静かに呼吸しているように見えた。
国産ハンドメイドレザーバッグ | Squeeze - スクィーズ
レザーバッグブランドSqueezeでは「物の価値ではなく、そこに込められた職人や人の想いの価値を大切にしていきたい」という考えに基づき、
メイドインジャパンにこだわり「バッグを持つ人に信頼と感動を与えたい、そんな商品を世の中に出せたら」という想いで日々勉強中です。
オーダーメイドや革製品の修理もぜひお気軽にご相談ください。
屋号 | 株式会社大関鞄工房 |
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