芸術としての仕事、仕事としての芸術 — 手を動かす、その奥にあるもの —
「いい仕事してますね」
この一言を、職人はどれだけの重みで受け止めてきただろうか。
決して派手ではない。
飾られた言葉も、華やかな舞台もない。
けれど「いい仕事」とは、人の暮らしの中で黙って支え続ける力であり、時を経てもなお評価される静かな“芸術”だと、私たちは思っている。
工房の一角には、代々受け継がれてきた金具やミシン、木型が並んでいる。
使い込まれた道具には、職人の癖や工夫の跡が残る。
そこには“美しさ”というより、“美意識”がある。
若い職人が、ある日こう言った。
「自分の縫ったバッグが、10年後に誰かの生活に溶け込んでたら、なんかすごいですよね」
それは単なる製品ではない。
人の暮らしの中で、日々手に取られ、擦れ、味わいを増していく——
そのプロセスそのものが、私たちのつくるものの“完成形”だ。
美術館に飾られるような芸術もあれば、
日常の中にそっと佇み、気づけば欠かせない存在になっている芸術もある。
後者こそが、大関鞄工房が目指す“用の美”の世界だ。
革は、どこまでも素材であり、生命の名残だ。
そこに手を加えることは、素材の声を聞き、最小限の意思で仕立てていくこと。
足すよりも、引く。飾るよりも、活かす。
そしてなにより、「長く使われる」ことを、すべての判断基準に置く。
だから私たちは、作業のすべてを“デザイン”として捉える。
型紙の角度、縫い目のピッチ、コバの磨き方、金具の選定──
そのどれもが、見えないけれど確実に“美”につながっている。
芸術とは、「誰かに届く」ことだ。
使い手の暮らしの中で、そっと支えるこの仕事は、間違いなく芸術に値する。
それを声高に言う必要はない。
ただ、ひと針ずつ、黙々と縫い続けること。
その姿勢の中にこそ、真の美しさが宿ると信じている。
今日もまた、工房にはミシンの音が響いている。
それは音楽ではないけれど、耳を澄ませば、確かに“芸術”のリズムだ。
国産ハンドメイドレザーバッグ | Squeeze - スクィーズ
レザーバッグブランドSqueezeでは「物の価値ではなく、そこに込められた職人や人の想いの価値を大切にしていきたい」という考えに基づき、
メイドインジャパンにこだわり「バッグを持つ人に信頼と感動を与えたい、そんな商品を世の中に出せたら」という想いで日々勉強中です。
オーダーメイドや革製品の修理もぜひお気軽にご相談ください。
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