休暇ブログ1 『止まった針の音、動き出す記憶』
ゴールデンウィーク初日。
工房に差し込む朝の光が、止まったミシンの金属面を鈍く照らしている。
いつもなら耳に残る針の上下する音、道具の触れ合うリズムが消えた空間に、ただ、しんとした時間だけが流れていた。
そんな静けさに背中を押されて、奥の棚から古い箱を取り出した。
中には、かつて自分で初めて作った革の手帳が入っている。
薄い焦げ茶色のヌメ革は、今ではすっかり艶が出て、角には細かな傷が刻まれていた。
あれはちょうど30年前のゴールデンウィークだった。
親方から「手が空いたなら、自分のもんを作ってみろ」と言われて、見よう見まねで仕立てたのがこの手帳だった。
表紙の革は硬すぎて曲がらず、芯材の入れ方も甘かった。
でも完成したとき、「ああ、自分のために作るって、こんなに嬉しいもんなんだ」と思ったのを今でも覚えている。
ページをめくると、最初の方にぎこちない文字でこう書いてあった。
「静寂の中、針を動かし始めた日」
ゴールデンウィークの静寂が、その日をありありと思い出させてくれる。
止まった針の音の代わりに、心の中で何かが再び動き出す。
そっと手帳を閉じて、もう一度革の束を見つめた。
やっぱり、作ることが好きなんだと、あらためて思った。
国産ハンドメイドレザーバッグ | Squeeze - スクィーズ
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