道具と暮らし③ ― 「名人との出会い──技よりも、大事なこと」
まだ職人として駆け出しだった頃、忘れられない人に出会いました。
その人は、私たちの業界では“名人”と呼ばれていた、年配の職人さん。
華やかさはないけれど、作業場に立つその背中はどこか神々しくて、空気までピンと張りつめるようでした。
はじめてその名人の作業を見たとき、衝撃を受けました。
無駄のない動き。まるで一筆書きのように美しく、速い。
でも、決して“急いで”はいないんです。
「速いけど、丁寧」──その意味を、私はその人から教わりました。
ある日、思い切って聞いたんです。
「どうすれば、そんな風になれるんですか?」と。
すると名人は、こう言いました。
「焦るな。革を見ろ。お前の手より、革が教えてくれる」
その言葉が、今でも頭に焼きついています。
技術は時間をかければ身につく。だけど、“革を見る目”や“ものの声を聞く耳”は、教わらなければ気づけない。
名人と出会ったことで、私は“つくる”ということの本質を少し知れた気がします。
あれから何十年。私ももう、名人と呼ばれる側に近づいてきたのかもしれません。
でも、あの背中には、まだ追いつけていない気がしています。
技は手が覚える。心は人から学ぶ。
名人との出会いが、今の大関鞄工房をつくってくれました。
国産ハンドメイドレザーバッグ | Squeeze - スクィーズ
レザーバッグブランドSqueezeでは「物の価値ではなく、そこに込められた職人や人の想いの価値を大切にしていきたい」という考えに基づき、
メイドインジャパンにこだわり「バッグを持つ人に信頼と感動を与えたい、そんな商品を世の中に出せたら」という想いで日々勉強中です。
オーダーメイドや革製品の修理もぜひお気軽にご相談ください。
屋号 | 株式会社大関鞄工房 |
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